バルクアップのカロリー計算方法|筋トレ効果を最大にするPFCバランスをトレーナーが解説
「筋トレは頑張ってるのに、なんで体が大きくならないんだろう…」
そんなふうに悩んでいませんか?
実は、バルクアップ(筋肉を増やすこと)においてトレーニングと同じくらい、いやそれ以上に大切なのが食事なんです。中でも重要なのが、「カロリーの摂取量」と「PFCバランス(たんぱく質・脂質・炭水化物の比率)」。
とはいえ、「どれくらい食べればいいの?」「たんぱく質は多めって聞くけど、具体的にどれくらい?」と、数字や計算に戸惑ってしまう方も多いはず。
この記事では、バルクアップを目指すあなたに向けて、カロリーの計算方法と理想的なPFCバランスをトレーナー視点でやさしく解説していきます。さらに、すぐに実践できる食事例や、コンビニ・外食での工夫も紹介します。
「ちゃんと食べてるつもりなんだけど…」というあなた。実はその“つもり”が成果を遠ざけているかもしれません。
この記事を読み終えるころには、自分にとって必要な栄養がクリアになり、明日からの食事に自信が持てるようになりますよ!
バルクアップにもカロリー管理が必須な理由
「とにかくたんぱく質をたくさん摂れば筋肉は増える」──確かにたんぱく質は重要ですが、それだけではバルクアップは成功しません。
筋肉をつけるためには、まず“カロリーの収支バランス”がプラスであることが大前提です。つまり、消費カロリーよりも摂取カロリーが多くないと、筋肉は増えないということ。筋肉の合成には多くのエネルギーが必要で、カロリーが足りていない状態では、いくら筋トレを頑張っても成果は出づらいんです。
なぜ筋トレだけではダメなのか?
ジムに通い始めて筋トレも週に3〜4回している。なのに、見た目があまり変わらない。そんな経験はありませんか?
これは多くの人が陥りがちなパターンです。筋肉は「筋トレ(刺激)×栄養(材料)×休息(回復)」で成長します。このどれが欠けても成長は止まってしまうんですね。
たとえば、建物を建てる時も、設計図(トレーニング)だけではダメで、材料(食事)がなければ何も作れません。特に、カロリーが不足していると、筋肉がエネルギー源として分解される=筋肉が減ってしまう可能性もあります。
増量=太るとは違う!正しいバルクアップとは?
「増量=太る」と感じて、必要なカロリーを摂ることに抵抗がある人も多いかもしれません。でもそれ、ちょっと誤解です。
バルクアップには大きく分けて2つのアプローチがあります。
- クリーンバルク:体に良い食材を選びつつ、必要なカロリーとPFCを計算して摂取する増量法。脂肪を最小限に抑えながら筋肉を増やせる。
- ダーティバルク:とにかくカロリー重視で、好きなものをガンガン食べて増量するスタイル。体重は増えるが、脂肪も同時に増える。
短期的に体重だけを増やすならダーティバルクでもアリですが、見た目もかっこよく仕上げたいなら、クリーンバルク一択です。
カロリー管理を正しく行うことで、筋肉を効率よく育てながら、余計な脂肪はつけずに済みます。つまり、質の良いバルクアップができる=理想の体に近づけるんです。
「どれだけ食べればいいのか分からない」という悩みは、数字で明確にするだけでスッと解決できます。次のセクションでは、自分に必要なカロリー=消費カロリー(TDEE)の出し方を紹介していきます!
まずは自分の消費カロリー(TDEE)を知ろう
バルクアップに必要なカロリー量を考えるうえで、まず知っておきたいのが「自分の1日の消費カロリー」=TDEE(総消費エネルギー量)です。
これを知らずに「とりあえず多めに食べよう!」とすると、思ったよりも増えなかったり、逆に脂肪ばかりが増えてしまったり…なんてことも。
では、TDEEはどうやって求めるのか?順を追って解説していきます。
基礎代謝+活動レベルからTDEEを出す方法
TDEEは、以下の2つの要素から構成されます。
- 基礎代謝量(BMR):寝ているだけでも消費されるエネルギー。生命維持に必要な最小限のカロリー。
- 身体活動レベル(PAL):日常生活や運動によって追加で消費されるカロリー。
簡易的に求めるには、以下のような計算式が使えます。
【ステップ①:基礎代謝の目安】
体重(kg) × 22(男性)= BMR
例:体重70kg → 70 × 22 = 1540kcal
【ステップ②:TDEEの算出】
BMR × 活動レベル係数(1.2〜1.9)
活動レベル | 目安 | 係数 |
---|---|---|
低い | デスクワーク中心、運動ほぼなし | 1.2〜1.3 |
普通 | 軽い運動 or 週2〜3回の筋トレ | 1.4〜1.6 |
高い | 筋トレ週5以上、アクティブな仕事 | 1.7〜1.9 |
たとえば、70kgの人が週3〜4回筋トレをしているなら
1540 × 1.5 = 約2310kcal(TDEE) という感じです。
バルクアップ期の目標カロリーはTDEE+α
TDEEがわかったら、バルクアップのために「+α」で摂取カロリーを増やす」のが次のステップ。
基本的には、TDEE+200〜500kcalを目安にスタートするのがおすすめです。
カロリー増加量の目安(体重に応じて調整)
増やす量 | 効果 |
---|---|
+200kcal | 脂肪の増加を最小限にしたクリーンバルク |
+300〜500kcal | 筋肉をしっかり増やしたいとき向け |
また、週に0.3〜0.5kgずつ体重が増えているか?をチェックしながら、摂取量を調整していくと◎。
「筋トレしてるのに増えない…」という場合、TDEEより少ないカロリーしか摂れていないパターンがとても多いです。
自分は少食じゃないしカロリー取れてるはず!と思っても要注意。食事内容を記録して1日の総摂取カロリーを計算してみましょう!
逆に、増えすぎて脂肪がついてきたら、摂取カロリーを少し抑えることで調整可能。数字で見ると、バルクアップは戦略的に進められるんです。
次のパートでは、実際に「PFCバランス」について詳しく解説していきます!筋肉を作る材料の内訳を見ていきましょう。
バルクアップに最適なPFCバランスとは?
TDEEと摂取カロリーの目安がわかったら、次に考えるべきは「そのカロリーを何から摂るか?」=PFCバランスです。
これは筋肉をつけるうえで超重要なポイント。
仮に3000kcal摂っていても、脂質ばかりに偏っていたら、筋肉ではなく脂肪が増えてしまう原因になります。
PFCとは?それぞれの役割を知っておこう
PFCとは、三大栄養素のこと。
- P=Protein(たんぱく質)
筋肉の材料そのもの。バルクアップ期はとくに意識して摂りたい。 - F=Fat(脂質)
ホルモン分泌やエネルギー源として必要。ただし摂りすぎると体脂肪に。 - C=Carbohydrate(炭水化物)
トレーニングのエネルギー源。糖質制限をしてしまうとパワーが出ず、筋トレの質が落ちてしまう。
それぞれ役割が異なるため、バランスよく摂ることが筋肥大のカギになります。
バルクアップ期の理想的なPFC比率
では実際に、どのくらいの比率で摂ればいいのか?
目安となるのが以下のバランスです。
P(たんぱく質):体重×2〜2.5g
たとえば体重70kgなら、140〜175g/日
F(脂質):総摂取カロリーの20〜25%
例:総摂取カロリー3000kcal → 600〜750kcal(約67〜83g)
C(炭水化物):残りのカロリーをすべて
3000kcal中、P=560kcal(140g)/F=700kcal(約78g)なら、
残り1740kcal → C=約435g
【例】体重70kgで1日3000kcal摂る場合のPFCバランス
栄養素 | グラム | カロリー | 比率 |
---|---|---|---|
P(たんぱく質) | 150g | 600kcal | 20% |
F(脂質) | 80g | 720kcal | 24% |
C(炭水化物) | 420g | 1680kcal | 56% |
合計 | – | 3000kcal | 100% |
こうして見ると、「炭水化物を意識的に摂らないと足りない」というのが実感できるはずです。
筋トレをしているとたんぱく質ばかりに意識がいきがちですが、意外と「炭水化物が足りてないせいで、筋肉がつかない」というケースは多いんです。
「たんぱく質は大事!」という認識は浸透していますが、それだけでは足りません。PFCをトータルで設計することが、バルクアップ成功の秘訣です。
次の章では、実際にこのPFCバランスをもとに、どんな食事をすればいいのか?を具体的なモデルケースで紹介していきます!
実際にバルクアップ用の食事例を組んでみよう
ここまでで「自分に必要なカロリー量」と「理想のPFCバランス」がわかりました。
とはいえ、数字だけ並べられても「じゃあ、何を食べればいいの?」ってなりますよね。
この章では、体重別の具体的な食事プランと、コンビニ・外食でもPFCを意識するコツを紹介していきます。
【モデルケース①】体重70kg・摂取カロリー3000kcalの場合
まずは、体重70kgの人が1日3000kcalを目標にした場合のPFC比率を思い出しましょう。
- P:150g(600kcal)
- F:80g(720kcal)
- C:420g(1680kcal)
このバランスで1日を「朝・昼・夜・間食」に分けて組んだ食事例がこちら。
朝食
- 白ごはん 200g
- 卵2個+ツナ缶(ノンオイル)
- 納豆
- バナナ1本
→PFC:P30g / F20g / C80g
昼食
- 鶏むね肉200g
- 白ごはん 250g
- 卵1個
- みそ汁
→ PFC:P45g / F10g / C90g
夕食
- 牛赤身ステーキ150g
- パスタ100g
- 卵1個
→ PFC:P40g / F18g / C90g
間食(2回に分けてもOK)
- プロテイン1杯 × 2回(20gたんぱく質×2)
- オートミール+無脂肪ヨーグルト
- ミックスナッツ15g
→ PFC:P35g / F25g / C160g
このように組むと、自然に目標のPFCバランスに近づけます。
コンビニや外食でも対応できるPFC調整のコツ
外食が多い人、忙しくて自炊が難しい人も多いですよね。
そんなときでも、工夫次第でバルクアップに必要な栄養をカバーできます。
コンビニで使える食材リスト
- たんぱく質:サラダチキン、ゆで卵、無糖ヨーグルト、プロテインドリンク
- 脂質:ナッツ類、オリーブオイルドレッシング
- 炭水化物:おにぎり、バナナ、シリアルバー
外食時のポイント
- 定食スタイルがおすすめ(焼き魚定食・鶏肉メニューなど)
- 油っこい揚げ物は控えめに
- 白ごはん大盛りやおかわりでで炭水化物量を増やす
「高たんぱく低脂質なメイン+炭水化物をしっかり」これだけ意識すれば、十分戦えます!
食事は「完璧」でなくてOK。
ポイントは、1日トータルで見たときに目標のPFCバランスに近づいていれば合格ラインということ。
特に食が細い人や忙しい人は、無理に詰め込まず、プロテイン、オイルでうまく補う工夫が大切です。
たくさん食べられないならドリンクで補うのも1つの手です。例えば粉末のポカリスウェットであれば1袋あたり炭水化物が74g摂れるのでご飯1杯分のカロリーが摂取できますし、飲むヨーグルトも炭水化物が摂れますのでプロテインは飲むヨーグルトで飲むのもおすすめ!
筆者自身も56kgのガリガリから74kgまでバルクアップした時はドリンクでカロリーを摂取することが多かったです。

継続こそ力!バルクアップを成功させるための習慣化のコツ
バルクアップは、短期勝負ではなく継続勝負です。
筋肉は一夜にして大きくなるわけではなく、日々の小さな積み重ねが、数ヶ月後に大きな差となって現れます。
でも実際のところ、「毎日しっかり食べる」「栄養バランスを守る」「トレーニングを続ける」って、思ったより難しいんですよね。
ここでは、バルクアップを無理なく続けていくための工夫や習慣化のコツを紹介します。
体重・食事・筋トレの記録をつけるメリット
まずおすすめしたいのが、「自分の状態を“見える化”すること」。
数字を把握することで、現状と理想の差がはっきりわかるようになります。
記録すべき項目
- 毎日の体重・体脂肪率(できれば朝イチに)
- 食事の内容(PFCやカロリーざっくりでもOK)
- トレーニングの内容と強度
これを毎日でなくてもいいので、習慣として残しておくだけでもモチベーションになります。
アプリやメモ帳、ExcelでもOK。最近は「MyFitnessPal」や「あすけん」など無料で使えるアプリも便利です。
食べるのがキツい人への工夫
バルクアップを続けるうえで、「とにかく食べるのがツラい…」という壁にぶつかる人も多いです。
そんなときは、**“食べやすくて高カロリーな工夫”**を取り入れるのがコツ。
カロリーを効率よく上げる食材・方法
- プロテイン+牛乳やバナナで「バルクアップおやつ」
- 良質な脂質源であるオリーブオイルやナッツを食事にプラス(スプーン1杯で約120kcal)
- 間食にドリンクで炭水化物摂取(だんごも炭水化物摂取におすすめ)
食べる回数を1日3回ではなく、4〜5回に分けて小分けで摂るのも効果的です。
「満腹感が辛い」という人には特におすすめ。
やる気が出ない日の乗り切り方
人間ですから、気分が乗らない日もありますよね。そんな日は「完璧を目指さない」のが長続きの秘訣。
- トレーニングは軽めにしてもOK(ルーティンだけでも◎)
- 食事はプロテインとおにぎりだけでもいい
- 罪悪感は捨てて、次の日にしっかり戻せばOK!
「毎日100点満点」を目指すと続きません。
70点をキープし続けられる人が、最終的には結果を出せます。
ベストな方法にこだわって続けられなくなるくらいなら、ベターな方法で続ける方がよっぽど効果的です。
バルクアップは、身体の変化を感じられるまで少し時間がかかります。
でも確実に、正しい知識と積み重ねが体に反映されていくのがこのフェーズの面白さ。
自分なりの「続けやすい習慣」を見つけて、無理なく理想の体に近づいていきましょう!
まとめ|カロリーとPFCを制する者がバルクアップを制す!
バルクアップは、単に「いっぱい食べて筋トレする」だけでは成功しません。
今回の記事でお伝えしてきたように、
- 自分の消費カロリー(TDEE)を知る
- 摂取カロリーをTDEEより+200〜500kcalに設定する
- 筋肉が増えやすいPFCバランス(特にたんぱく質と炭水化物)を意識する
- 継続できる食習慣をつくる
この4つをおさえて初めて、“体を変える”スイッチが入ります。
最初は慣れないカロリー計算やPFCの管理に戸惑うかもしれません。でも、これらは慣れれば日常の一部になります。
むしろ意識せずに「なんとなく」で食べている状態こそが、筋肉が思うように増えない一番の原因かもしれません。
食事は「筋肉を育てるための練習」とも言えます。
トレーニングで刺激を与え、食事で栄養を与え、睡眠で回復する。
このサイクルを整えていくことが、バルクアップの成功に直結します。
そして何より大切なのは、自分の身体の声に耳を傾けること。
「最近食べすぎかな?」「ちょっと体脂肪が気になるな…」と感じたら、一旦立ち止まって微調整する柔軟さも必要です。
数字を味方にしながら、焦らず着実に“自分史上最高のカラダ”を目指していきましょう!
筋トレの成果が「見た目」に表れてくると、モチベーションも爆上がりします。
その喜びを味わうために、今日から一歩ずつ“食事管理”という土台作りを始めてみませんか?
あなたの努力は、ちゃんと報われます。
次に鏡を見るとき、きっと「変わってきたかも」と感じられるはずです!